歯周病治療
歯周病とは
歯周病は歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)の病気です。
症状の軽いうちに手当をしておかないと、歯の土台である歯槽骨がだんだん無くなっていき、ついには歯が抜け落ちてしまいます。
次のような症状がある方は要注意!
◎歯ぐきが腫れて、血や膿が出る。
◎口の中がネバネバした感じがする。
◎口臭がする。
◎歯と歯の間に物が挟まり易い。
◎歯ぐきが下がって、歯が長くなった気がする。
◎歯がグラグラする。
◎冷水や温水を口にふくむと歯がしみる。
◎歯が浮いている感じがする。
近年、日本では30歳代になると90%以上の方が歯周病になっており、40~50歳代の約50%が歯周病が原因で歯を失っているというデータがあります。
虫歯や歯周病の進行具合は自己判断が難しいため、定期的なメインテナンスを心掛け、少しでも早く発見し治療することが重要です。
歯周病と全身疾患の関係
最近の研究では、糖尿病、心臓血管病、低体重児出産・早産などが歯周病に関連する全身疾患とされています。
また、肺炎、骨粗しょう症、腎炎、関節炎、発熱などへの関連も疑われています。
しかし、このことに関する研究成果や発表の多くは海外の疫学研究が中心となっており、日本の研究では確証となるデータが不足している状態です。
歯周病の進行
歯周病は次のように左から右へ進行していきます。進行具合によって治療法が異なります。歯周病は、自己判断が難しいため、お早めご相談ください。
- 健康な状態
- ①歯と歯ぐきの間に歯石や歯垢が溜まっている状態
- ②歯ぐきが赤く腫れ始めた状態
- ③腫れが進行し、歯の根元が見え始めた状態
- ④歯ぐきが歯を支えられなくなり、グラグラしている状態
歯周病の原因
歯周病は、プラーク(歯垢)の中にある細菌が原因で起こるとされています。
このプラークが、歯の表面や歯周ポケット内部で成熟して形成した膜をバイオフィルムといいます。
このバイオフィルムは、細菌がフィルム状のバリアーに覆われているため、通常の歯磨きや薬剤などの化学療法では落とすことができません。
このバイオフィルムを放置しておくと、歯周病が進んでいきます。
治療の流れ
初診・カウンセリング
現在の症状、生活習慣等をお聞きします。
生活習慣病といわれている歯周病を治療するには、患者さんの日常生活(食生活、歯磨きの回数、睡眠時間等)を見直すことも重要です。
検査
歯ぐきの状態やお口の中の細菌などを検査します。
歯ぐきは、色や腫れ、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さを調べます。
健康な歯ぐきの歯周ポケットは1~2ミリ、中程度の歯周炎があると3~5ミリ、歯周病が進行した場合は6ミリ以上です。
また、お口の中の細菌を調べ、その後の治療方針を決定します。
歯磨き指導
患者さんの現在の歯磨き方法を見直し、最適な歯磨きを指導します。
正しい歯磨きの方法を身につけ、ご自宅でのメインテナンスを強化していただきます。
治療
◎スケーリング
歯肉縁上(歯の表面に見える部分)にある歯石を除去します。歯磨きのチェックも行い、適正に行なわれていない場合は再度、歯磨き指導・練習を行います。
◎スケーリング・ルートプレーニング
歯肉縁下(歯ぐきに隠れて見えない部分)に歯石があるため症状が改善されない場合、この歯肉縁下歯石を除去します。状態によって局所麻酔が必要になります。
◎歯周再生治療
下がってしまった歯ぐきを元の状態に近づけ、歯周病が再発しにくくする方法です。
再検査
再度お口の状態を検査します。
経過が良好であれば、メインテナンスに移行します。
メインテナンス
定期的(3~6ヵ月)にご来院いただき、お口の状態の確認、歯石除去等を行います。
歯周病の再発・悪化防止には定期的なメインテナンス、ご自宅での正しいブラッシングが重要です。
歯周病の治療
保険範囲内での歯周病治療
スケーリングおよびスケーリング・ルートプレーニングで改善した例です。
- 治療前
- 治療後
- 治療前
- 治療後
◆治療内容
歯科医師や歯科衛生士がスケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、歯から歯石を取り除きます。
◆リスク
・歯周組織が傷ついてしまう場合がある
・知覚過敏や歯ぐきに痛みなどが出やすくなる場合がある
◆この症例にかかった治療費(歯周病保険治療費の合算)
保険適用 23,580円(税別)
歯周病によって歯が抜けてしまった場合
歯が抜けてしまった部分に、歯を補う治療が必要となります。
従来からある入れ歯を装着します。
数本の歯の場合は部分入れ歯、すべての歯を失った場合は総入れ歯となります。
抜けた歯の両隣の歯を削り、連結された人工歯(ブリッジ)を被せる治療です。